ムクドリ(椋鳥) 【スズメ目ムクドリ科】
全長24センチ、スズメとハトの中間ほどの大きさで、低地の平野や低山地にかけて広く生息し、都市部などの人家付近や田畑などでもよく見られる留鳥です。そのため、野鳥観察では大きさを表現するための物差し鳥として利用されています。翼と胸、首は茶褐色で、首から頭にかけてと腰に白い部分が混じり、足とクチバシは黄色く、雄は胸や腹・背が黒っぽく、雌は褐色に近い色をしています。冬は南部に移動すると言われています。雑食性で、地面に降りて歩いて虫などを探すこともあれば、木の枝に留まって柿などの熟した実をついばんだりもします。鳴き声は「ギャーギャー」「ギュルギュル」など。
―ムクドリの豆知識―
「椋鳥」の語源は「群木鳥・群来鳥(ムレキドリ)」から転じたとする説と、椋の木の実を好むからとする説があります。方言では、モク、モクドリ、モズ、クソモズ、モンズ、サクラモズ、ツグミ、ヤマスズメ、ナンブスズメ、ツガルスズメなど様々に呼ばれています。
もともとは、農作物に害を及ぼす虫を食べる益鳥とされていました。平均的なムクドリの家族(親二羽、雛六羽)が一年間に捕食する虫の数は百万匹以上と研究されています。当時、害虫を一匹駆除するのに1円かかると言われていたため、ムクドリ一家族で年間に百万円以上の利益を国家にもたらす「農林鳥」とたたえられました。その後、生息環境の破壊により都市に適応して大量に増殖すると、鳴き声による騒音や糞害などが問題になりました。日本国内では1994年から狩猟鳥に指定されています。
文学作品にムクドリがしばしば登場しますが、「椋鳥」は冬の季語と定められています。江戸時代、江戸っ子は冬になると集団で出稼ぎにやってくる東北人たちを、やかましい田舎者の集団という意味合いで「椋鳥」と呼んで揶揄していました。俳人小林一茶は故郷、信濃から江戸に向かう道中にその屈辱を受けて、「椋鳥と 人に呼ばるる 寒さかな」という俳句を残しています。
現在の日本では食用にはされていませんが、『大和本草(やまとほんぞう)』(貝原益軒が編纂し1709年に刊行)には食用にされてきたことをうかがわせる「味よし」という記載がされています。
(参考:ウィキペディア/フリー百科事典)
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